ゲシェフトフューラーの豆知識

長期病欠社員の勤務復帰措置で最高裁判決

年に6週間以上、病気休業する社員がいる場合、雇用主は本人の同意を得たうえでどうすれば職場に復帰できるかを検討しなければならない。これは第Ⅸ社会法典(SGB)84条2項の第1文に記されたルールで、「職場復帰マネジメント(B

コロナで陽性となった社員はどうすべきか?

感染力の極めて高い新型コロナウイルスのオミクロン株が流行していることから、感染する同僚や知人が周りで増えているのではなかろうか。では感染した社員はどのような対応を取らなければならないのだろうか。あるいは取れるのだろうか。

業界労使の協定と社内協定、どちらが優位か

ドイツの雇用者団体と労働組合は個々の企業の枠を超え業界全体で協定(労使協定=Tarifvertrag)を締結する。その一方で、各社・事業所単位で被用者の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)と雇用主が独自の

超過勤務時間の計算で有給休暇を加味しないのは違法

所定の勤務時間を超えて被用者が超過勤務を行った場合、労使協定や労働契約に基づき通常、手当(割増賃金)が支給される。欧州連合(EU)司法裁判所(ECJ)はこのほど、ドイツの人材派遣業界の労使協定に定められた超過勤務手当規定

2Gルールは事業所委の会議にも適用か

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためドイツでは現在、「2G」ルールが実施されている。2Gはコロナ規制の一環で昨年夏から導入されているルールで、Gは「Geimpfte(ワクチン接種完了者)」「Genesene(コロナ

被用者がコロナ検査拒否、3Gルールなしでも解雇は可

新型コロナウイルスの感染を防止するための3Gルールが11月下旬に職場にも適用された。ワクチンの接種完了、感染からの快復、陰性のいずれかを証明することが義務付けられるており、非接種者(未接種の快復者は含まれない)は陰性証明

在宅勤務でケガ、労災が適用

ホームオフィスで働く被用者にとって朗報だ。最高裁の連邦会裁判所(BSG)が自宅での怪我を労裁と認定したのである。 裁判はある企業で外交員として勤務する被用者が労災保険運用機関を相手取って起こしたもの。原告は営業活動で顧客

操短で勤務日が減少、有給休暇の日数はどうなる?

新型コロナウイルスの流行とそれに伴う飲食店や小売店の店舗営業禁止措置を受け、多くの企業で操業時間が短縮されている。特に昨年は操短の対象となった被用者が多く、ピーク時の4月には断トツで過去最高の600万人に達した。では、操

マスク着用社員、手当の受給権はあるのか

ドイツではコロナ禍の早い時点でマスク着用義務が導入された。当初は布マスクも認められていたが、現在は医療用マスク(通称OPマスク)、ないしフィルター機能が高い「FFP2」などの微粒子用マスクでなければならない(新規感染者数

タイムカードの違反、妥当な処分は?

義務や規律違反の社員にどの処分を下すべきかは、雇用主が頭を悩ませる問題であろう。社内に示しをつけなければならないだろうし、情が働くこともあるだろう。法律的には過度の処分は認められず、裁判になれば敗訴することになる。今回は

言動に問題のある社員、即時解雇の前に警告処分を

同僚や上司を侮辱したり口汚くののしる問題社員がいると、職場の雰囲気は悪くなる。そうした社員の即時解雇の是非を巡る裁判で、ラインラント・ファルツ州労働裁判所が6月に判決(訴訟番号:1 Sa 75/21)を下したので、取り上

給与の差し押さえ、企業年金も対象になるか

金銭的な義務を履行しない者の給与は差し押さえの対象となり得る。では、給与の一部を企業年金に回した場合、その部分も差し押さえの対象になるのだろうか。この問題を巡る係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が10月に判決(訴訟番

「ズボン下ろし」で即時解雇は妥当

同僚に対するいたずらが単なる悪ふざけで済まない場合がある。いわゆる「ズボン下ろし」はそんなケースの1つである。今回は、ズボン下ろしを行い解雇通告を受けた被用者が起こした訴訟で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が下した判決

MS365導入の共同決定権で判決

マイクロソフトの業務用オフィススイート「オフィス」には従来型のパッケージ版のほか、サブスクリプション型のクラウド版「マイクロソフト365(旧オフィス365)」がある。クラウド版は常に最新のソフトが利用できるなど利便性が高

ワクチン接種で健康被害は労災か

新型コロナウイルス対策として大きな企業などはワクチンの職域接種を実施した。では、接種に伴う健康被害が被用者に出た場合、労働災害とみなされ、補償を受けることができるのだろうか。新型コロナではないが、ワクチン接種に伴い健康被

高齢入社社員への企業年金不給付は不当な差別か

採用時の年齢が高い被用者を企業年金の支給対象から除外することは一般的に行われている。そうしたルールが不当な年齢差別に当たるかどうかを巡る係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が判決(訴訟番号:3 AZR 147/21)

在宅勤務から出勤への切り替えを命令できるか

コロナ禍の発生後、感染を防止するために在宅勤務を行う人が増えた。では、社員に対して一度認めた在宅勤務を取り消し、出勤に切り替えることを雇用主は命令できるのだろうか。この問題に絡んだ係争でミュンヘン州労働裁判所が8月26日

即時解雇には事実に基づく具体的容疑と本人の釈明が必要

被用者を即時解雇するためのハードルは高く、単に違法な行為や重大な労使契約違反が疑われるだけでは実施できない。この原則に基づく判決をメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が5月に下したので、今回はこれを取り上げてみる(

マスク着用命令は雇用主の義務

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための法令に基づいてマスクの着用が義務付けられている職場で着用を頑なに拒否する被用者を解雇することは妥当かどうかについて現時点で最高裁判決は出ていない。だが、これまでの下級審の判決をみる

マスク着用を頑なに拒否、解雇は妥当

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために勤務中のマスク着用を雇用主が義務付けているにもかかわらず、被用者が受け入れを頑なに拒否した場合は即時解雇できる。そんな判断をケルン労働裁判所が6月の判決(訴訟番号:12 Ca

コロナ感染で有給休暇が台無し、取り直しを請求できるか?

被用者が有給休暇の期間中に病気になった場合、医師の証明書で労働不能状態とされた期間は年次有給休暇に算入されない。これは連邦有給休暇法(BUrlG)9条に記されたルールであり、病気で享受できなくなった日数分を被用者は事後的

操短による収入減を被用者が拒否、解雇は妥当か

新型コロナウイルスの流行を受け、操業時間を短縮する企業が昨年春に急増した。需要が激減したり、店舗営業の停止命令が当局から出されたりし、他に選択肢がなかったためである。 操短の対象となった被用者は賃金の代わりに国から操短手

アジア系の上司を「明朝の壺」と表現で即時解雇

人種差別は憲法で禁じられた行為であり、人権に敏感なドイツでは仮に冗談であっても許容されない。そんな印象を改めて感じさせる判決(訴訟番号:55 BV 2053/21)をベルリン労働裁判所が5月に下したので、取り上げてみる。

解雇通告は期限内に、コロナ禍は遅延理由にならず

コロナ禍で多くの企業は在宅勤務体制を取っている。このため意思疎通や業務が遅れることがあるが、それを理由に解雇通告の遅延が正当化されることはない。ベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が3月の判決(訴訟番号:23 Sa 1

ワクチン接種の有無を被用者に質問できるか?

ドイツでは新型コロナウイルス用ワクチンの接種が急速に進み、7日からは16歳以上の全員が接種の予約を取れるようになった。そうなればもう接種を受けたかどうかが職場の話題になるのは自然であろう。では雇用主が被用者に接種の有無を

セクハラから女性社員を守ることは雇用主の義務

同僚に無理やりキスをした社員を即時解雇することは妥当との判決(訴訟番号:8 Sa 798/20)をケルン州労働裁判所が4月に下したので、ここで取り上げてみる。 裁判はIT関係の業務を行う男性被用者が雇用主を相手取って起こ

不正行為の調査費用、対象の被用者に請求できるか

社員の不正行為を調べる調査で発生した費用を雇用主はその社員に請求することができるのだろうか。この問題に絡む係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が4月に判決(訴訟番号:8 AZR 276/20)を下したので、ここで取り

個人データのコピー請求で最高裁判決

個人データの管理者は請求があった場合、そのコピーをデータ主体に提供しなければならない。これは欧州連合(EU)一般データ保護規則(GDPR)15条3項に定められたルールである。被用者はこの権利に基づき、自分自身のデータのコ

同僚に故意に咳を吐きかけ、解雇は妥当

新型コロナウイルスの感染が流行するなかで同僚に意図的に咳を吐きかける行為は即時解雇に値する――。デュッセルドルフ州労働裁判所が昨年8月の判決(訴訟番号:3 Sa 646/20)でそんな判断を示したので、ここで取り上げてみ

コロナ隔離で解雇は違法

新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、感染者に濃厚接触した人は自主隔離を義務付けられている。そうした人を解雇することは不当とする判決(訴訟番号:8 Ca 7334/20)をケルン労働裁判所が下したので、ここで取り上

テレビ会議用の装備は事業所委に必要、雇用主に提供義務

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、対面方式の会議をテレビ・電話会議に切り替える動きが従業員の代表機関である事業所委員会(Betribsrat)の間に広がっている。こうしたテレビ会議などに必要な装備を雇用主は提供しなけ

労働条件変更は必要不可欠の範囲内で

労働条件を変更するために旧契約を解除し新たな契約を結ぶことを、「変更解約(Aenderungskuendigung)」と言う。この変更解約を巡る係争でハンブルク州労働裁判所が3月に判決(訴訟番号:5 Sa 67/20)を

モバイル勤務の導入、事業所委の同意は必要か

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)は法律ないし(業界の)労使の取り決めがない限りにおいて、事業所内の様々な案件について共同決定権(Mitbestimmungsrechte)を持つ。これは事業

「ズル休み」を理由とする解雇では客観的な事実の提示が必要

病気と偽って仕事を休んだ被用者を雇用主は即時解雇できる。勤務の義務を不正に怠るともに、給与の継続支給を受ける詐欺行為は、労使関係の維持に必要不可欠な信頼関係を修復不能なほどに崩すものと判断されるためである。重大な理由があ

経歴詐称で解雇できないことも

採用した被用者が経歴を詐称していたことが分かった場合、雇用主は雇用関係がなかったことにすることができる。民法典(BGB)142条1項に、「取り消し可能な法律行為が取り消された場合、法律行為は初めから無効であったとみなされ

同僚をトイレに閉じ込め、即時解雇は妥当

同僚をトイレに故意に閉じ込める行為は即時解雇に値する――。ジークブルク労働裁判所がそんな判決(訴訟番号:5 Ca 1397/20)を2月に下したので、今回はこれを取り上げてみる。 裁判は倉庫勤務の被用者が雇用主を相手取っ

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