鉄道・交通労組EVGの執行部は22日、無期限ストライキ入りの是非を問う組合員投票の実施を全会一致で決議した。ドイツ鉄道(DB)との交渉が前日に決裂したことを受けた措置。無期限スト方針が組合員の過半数の支持を受けて成立するのは確実とみられ、夏季バカンスシーズンのダイヤが大幅に乱れる可能性が出てきた。
EVGは3月末、警告ストを全国レベルで実施した。これを受けDBは長距離列車を全面運休。近距離列車の運行にも大きな支障が出た。EVGは5月中旬にも50時間のストを実施しようとしたが、スト差し止めを求めてDBが起こした裁判で裁判官が和解交渉を提案したことから中止し、これまで労使交渉を行ってきた。
無期限ストは警告ストと異なり、実施期間が限定されない。このため、警告ストよりも強い圧力を経営陣に行使できる。EVGは経営陣が歩み寄れば無期限ストを回避できるとしており、DBの今後の回答次第では見送られる可能性もある。ただ、無期限スト入りの決定前であっても警告ストを行う可能性を排除しておらず、鉄道利用者は注意が必要だ。
欧州では高インフレを受けて労働組合が従来よりも大幅なベースアップを要求している。コロナ禍時に賃上げ要求を抑制してきたこともあり、執行部は経営陣と安易な妥協をできない状況だ。