ライン川の水位が数日間、航行に支障が出る水準まで低下した。同河川は石油や石炭、化学物質などの重要な輸送ルートであるため、川底が一部干上がった昨年夏のような状況になると、景気の回復が遅れる懸念がある。
ライン川ではライン渓谷中流のカウプで水深が特に浅く、交通のボトルネックとなっている。水位が135センチを下回ると、大型コンテナ船は積荷を減らす必要がある。春の降水量が多かったことから5月は350センチに達していたが、今月19日から22日にかけてはほぼ一貫して135センチ未満が続いた。22日に大雨が降ったことから、一時的にやや上昇したものの、26日13時の152センチをピークに再び低下傾向にある。27日13時現在は137センチとなっている。
1-3月期の国内総生産(GDP)は物価調整後の実質に季節・営業日数を加味したベースで前期を0.3%下回った。マイナス成長は2四半期連続で、ドイツは景気後退局面に入っている。ドイチェ・バンク・リサーチのエコノミストはロイター通信に、「水位が今後、(干ばつが深刻だった)2018年や2022年と同様の低水準に低下すれば、景気回復に影響が出る」との見方を示した。化石燃料や原材料が不足し生産に支障が出るためだ。
運賃が高騰するうえ、物資の供給不足で一部製品の価格も上昇することから、インフレ低下の足取りが鈍る恐れもある。