ドイツ政府は26日の閣議で、1時間当たりの法定最低賃金を来年と再来年の1月にそれぞれ41セント引き上げる意向を表明した。最低賃金諮問委員会の答申を踏まえたもの。諮問委では労働組合代表と雇用者団体の代表の意見が分かれたものの、中立の立場の委員長が雇用者団体側の意見に与したことから、雇用者側の意見が採択された。高インフレを踏まえると上げ幅は比較的小さい。
ドイツでは全国・全業界一律の最低賃金が2015年1月に導入された。国内の各種業界で取り決められる賃金協定をもとに諮問委が2年ごとに水準を見直し、政府に提言する決まりとなっている。
ただ、22年10月の大幅引き上げ(10.45ユーロから15%増の12ユーロ)は政府が諮問委の頭越しに特例法を通して実施した。与党・社会民主党(SPD)が21年の連邦議会選挙で12ユーロへの引き上げを重要公約に掲げていたためだ。
諮問委は今回、最低賃金算出の基準額を現行の支給額である12ユーロではなく、同委の前回の答申額である10.45ユーロに設定した。このため、来年1月の上げ幅は3.4%と比較的小さくなった。労組代表の委員は12ユーロをベースに計算することを要求していた。