鉄道の5G環境整備へ、DBなどが国の助成受けコンセプト作成

ドイツ鉄道(DB)は13日、乗客が5G通信サービスを利用できるようにするためのコンセプトを、通信機器大手エリクソン、電気通信サービス大手O2テレフォニカ、基地局運営大手ヴァンテージ・タワーズと共同作成すると発表した。乗客のデータ送受信量の大幅増と業務デジタル化の進展に従来の技術では対応しきれないことから、必要なインフラを可能な限り低コストで構築するための構想を2024年末までにまとめ上がる。連邦デジタル・交通省から640万ユーロの補助金を受ける。

これまで鉄道で使用してきた周波数の低い電波は1本のタワーで広い範囲をカバーできるものの、データ転送量が少ないという弱みがあった。一方、周波数の高い電波はデータ転送能力が高いものの、電波が届く範囲が狭く、大量のタワーを設置しなければならないという問題がある。DBなど4社はこの問題の最適解を「GINT(ギガビット・イノベーション・トラック)」という名のプロジェクトで模索していく。

プロジェクトの一環として、独北東部メクレンブルク・フォーポマーン州内の10キロ強の路線でテストを実施する。設計の異なるタワー10本を設置。ギガビット級の高速通信を途切れることなく利用できるようにする。

コンクリートでなくネジで固定するタイプのタワーも試験する。コンクリート固定タイプのものに比べ設置の手間が少ないほか、二酸化炭素(CO2)の排出削減に寄与するというメリットがある。コンクリートは生産過程でCO2が不可避的に排出される。

ビジネスや娯楽用ソフトのデータ使用量は増加し続けている。DBによると、列車1台当たりのデータ転送量は30年代初頭に最大5ギガビット毎秒に達するという。

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