ファーウェイとZTEを5G網から排除へ、安保リスク踏まえ欧州委が加盟国に要請

欧州連合(EU)の欧州委員会は15日、第5世代(5G)移動通信システムのインフラから中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)を排除するよう加盟国に要請した。「他の通信事業者よりリスクが高い」と指摘し、加盟国に対応を急ぐよう求めた。ファーウェイとZTEをめぐっては、すでに米国やカナダなどが自国の通信網から排除する方針を打ち出しており、EUもこうした動きに追随する。

発表によると、欧州委はブリュッセルのEU本部や加盟国に置く関連機関で、通信サービス関連の調達から2社を排除する。すでに導入している機器については、段階的に他社製品に置き換える。5Gネットワークの安全性を脅かすリスク要因を取り除くため、加盟国にも同様の措置を求めている。

欧州委は2020年、「EU域外の国やそうした国家の支援を受けた企業」によるサイバー攻撃などが、EUおよび加盟国の安全保障を脅かす「深刻な脅威」になり得るとの分析結果をまとめ、高速通信網の安全性強化に向けた指針を策定。ファーウェイを念頭に、5Gネットワークの整備に当たり、関連機器の調達先を多様化するとともに、「高リスク企業」がネットワークの中核部分に参入するのを制限または阻止できる仕組みを導入するよう加盟国に勧告した。

欧州委がまとめた最新の報告書によると、現時点でリスクの高い通信業者に対する規制を導入しているのはEU27カ国のうち10カ国。ブルトン欧州委員(域内市場担当)は記者会見で「対応が遅すぎる。高リスク事業者への依存はわれわれの利益を損なう『武器』にされる恐れがあり、EUの安全保障を危険にさらすことになる」と警告。加盟国と通信事業者に対し、セキュリティ強化に向けて早急に対応するよう求めた。

今回の動きを受け、中国外務省の報道官は16日、欧州委はファーウェイとZTEを排除する「法的な根拠も事実に基づく証拠も示していない」と批判。ファーウェイも欧州委の対応は5G網に関する客観的な技術的評価に基づいていないと反論している。

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