中国製バイオ燃料に偽装表示の疑い、独の要請受け欧州委が調査へ

ドイツ環境省の報道官は7日までに、中国から欧州連合(EU)市場に流入するバイオ燃料について、欧州委員会に調査を要請したことを明らかにした。安価な油を混合したバイオ燃料が欧州向けに輸出されている疑いがあり、EUが定める持続可能性などの基準を満たしていない可能性がある指摘している。ロイター通信が報じた。

バイオ燃料は化石燃料に代わる環境に配慮した燃料として普及が期待されており、EUは廃食用油などを原料とするバイオディーゼル燃料の製造を奨励している。同時にバイオ燃料の生産およびサプライチェーン全体で持続可能性を確保するため、生物多様性に富んだ土地での原料生産を制限したり、厳しい温室効果ガス削減要件を設け、EUが認定した認証機関が基準を満たしている製品に対して証明書を発行している。

独環境省の報道官はロイターに対し、「中国で生産されたバイオ燃料について、持続可能性の基準や温室効果ガス削減の要件が満たされているかどうか判断するための評価を欧州委に要請した」と述べた。

欧州委の報道官はロイターの取材を受け、ある加盟国からバイオ燃料として偽装表示された可能性のある中国からの輸入燃料について照会があったことを認め、調査を実施する方針を示した。また、欧州委はバイオ燃料の取引に対する監視を強化するため、年内にサプライチェーン全体の情報をカバーするデータベースの構築を計画していることを明らかにした。

欧州のバイオ燃料団体トップは先ごろ、中国で生産された「怪しげな」バイオディーゼルが欧州市場に大量に流入すれば、EUのバイオ燃料産業が崩壊しかねないと警告していた。業界内では中国からの輸入燃料に対する監視が行き届いていないことへの懸念が高まっており、ある関係者は今回の動きを受けて「ドイツ政府が動いていることは明らかだ。成果を期待している」と述べた。

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