独経済省は8日、国内の半導体プロジェクト31件に対する公的助成が欧州連合(EU)の欧州委員会から承認されたと発表した。申請したのは32件であるため1件が承認されなかったことになる。不許可となったのは蘭ネクスペリアが独北部のハンブルクで計画するプロジェクト。同社は中国企業の子会社であることが原因との観測が出ている。
ネクスペリアは蘭半導体大手のNXPセミコンダクターズが中国の投資会社からなるコンソーシアムに売却した汎用品事業ユニットで、2017年に設立された。翌18年に中国の電子機器大手、聞泰科技(ウィングテック)の子会社となった。
8日付の経済紙『ハンデルスブラット』によると、独ハーベック経済相などがネクスペリアへの助成申請を承認しないよう働きかけたという。同氏は中国への厳しい姿勢で知られている。
経済省は「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みでの助成承認を欧州委に申請していた。今回承認された31件のプロジェクトでは、企業が計100億ユーロ超の投資を実施する。公的助成は合わせて約40億ユーロで、そのうち70%を国、30%を州が引き受ける。プロジェクトは半導体の原料生産から設計、製造、部品やシステムへの統合までと幅広い。助成の受け手も大手企業だけでなく中小企業、スタートアップにまで及んでいる。