水素市場の立ち上げで独とEUが連携、支援内容で加盟国間の相違回避

ドイツのロベルト・ハーベック経済・気候相と欧州連合(EU)欧州委員会のカドリ・シムソン委員(エネルギー政策担当)は5月31日、グリーン水素市場の創設に向けたドイツとEUの取り組みを連携させることで合意した。同国のイニシアチブ「H2グローバル」をEUが立ち上げる「欧州水素銀行(EHB)」の一部に組み込むことで、グリーン水素分野の支援内容でEU加盟国間に大きな相違が生じないようにする狙いがあるもようだ。独経済・気候省の1日付の声明には、H2グローバルは◇水素入札に関心のあるすべての加盟国に開かれている◇水素の輸入を促進するためEHBと共同で入札を行う――と明記されている。

H2グローバルはグリーン水素の国際市場を立ち上げる目的で創設された。同名の財団にはドイツ内外の企業が参加している。ハンブルクに拠点がある。

同財団は傘下企業Hintco(ハイドロジェン・インターミディアリィ・カンパニー=水素仲介会社)を通してグリーン水素ベースのアンモニア、メタノール、eケロシンをEU・欧州自由貿易連合(EFTA)域外から調達し、販売することを計画している。調達と販売はともに入札方式で実施する。

調達入札ではアンモニア、メタノール、eケロシンをそれぞれ1社から購入する。提示額が最も低い応札者が落札する。契約期間は10年。

販売入札では提示額が最も高い応札者が落札する。販売契約の期間は1年。調達価格は販売価格を上回ると予想されることから、差額を埋めるために国は補助金を交付する。すでに第1弾の入札手続きを開始している。

EHBは欧州委員会が3月に打ち出した構想で、グリーン水素の域内生産や輸入支援が柱となっている。EU域内での生産と域外からの輸入を通して2030年までに2,000万トンを確保する目標だ。

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