炭素差額契約入札の予備手続き開始、参加企業に2カ月以内の情報提出義務

新しい脱炭素技術の投入で価格競争上、不利になる企業に、従来型の技術で生産する競合製品との差額を国が補償する「炭素差額契約(CCfD)」の導入に向けてドイツ政府が動き出した。CCfD入札の予備手続きに関する情報が6日、官報に掲載された。同契約の締結に関心のある企業は脱炭素技術の投入計画に関する情報を連邦経済・気候省に2カ月以内に提出しなければならない。提出しない企業は入札に参加できないため、助成を受けられない。

化学や鉄鋼、製紙などエネルギー集約型産業の製造工程ではこれまで化石燃料が大量に使われてきた。政府はこれをグリーン水素など炭素中立のエネルギーに改めることで、経済の脱炭素化を進める意向だ。

ただ、グリーン水素などを生産に用いると価格競争で不利になることから、国はCCfDを通してメーカーを支援。企業の脱炭素投資を促進するとともに、関連技術を発展させて脱炭素投資の低コスト化を図る意向だ。国内の水素インフラを構築しドイツを「主導的なグリーン市場」にする狙いもある。国の「気候・トランスフォーメーション基金」を通して今後15年で数百億ユーロ規模の助成を行う。

CCfD入札では助成申請額が最も低い企業が落札し、国と契約を結ぶことになる。予備手続きで得られる情報をもとに入札の詳細条件などを決定。年内にも最初の入札を行う。

入札に参加するためには、電力をすべて再生可能エネルギーで賄わなければならない。また、使用する水素は欧州連合(EU)タクソノミー(気候変動など環境問題の解決に貢献する持続可能な経済活動を6つの目的に分類したEU独自の基準)を満たしたものでなければならない。

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