世界の主要自動車メーカーのなかで今年1-3月期の利益率が最も高かったのは独メルセデスベンツであることが、コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調査で分かった。サプライチェーンのひっ迫に伴う販売の低迷で値引きを回避できたほか、同社が昨年打ち出した上位モデルの重点強化戦略が奏功した格好だ。
メルセデスの売上高営業利益率は14.7%に達し、調査対象16社のなかで最も高くなった。2位は競合BMWで僅差の14.6%。3位には12.1%で韓国の起亜自動車が付けた。
これまでトップだった米電気自動車(BEV)大手テスラは19.2%から11.4%へと大幅に下がり、4位に後退した。EYのパートナーであるペーター・フス氏は、メルセデスなど販売増加率が小さいメーカーで利益率が特に高かったのに対し、同36%増と大きく伸びたテスラは利益率が振るわなかったと指摘。価格を引き下げて販売を伸ばすテスラの戦略は収益力を押し下げているとの見方を示した。
売上高が最も多かったのは独フォルクスワーゲン(VW)で760億ユーロに上った。これにトヨタ自動車が680億ユーロ、ステランティスが47億ユーロで続いた。
VWは営業利益も最も多く、57億ユーロを記録した。2位はメルセデス(55億ユーロ)、3位は BMW(54億ユーロ)とトップ3を独メーカーが占めている。
16社の合計の売上高は前年同期比19%増の4,940億ユーロとなり、過去最高を更新した。営業増益幅が6%にとどまったことから、売上高営業利益率は1ポイント減の8%に低下している。
主要市場での16社の販売台数をみると、欧州と米国ではそれぞれ16%、8%増えた。一方、中国は22%減と大幅に縮小。独メーカーの販売台数に占める同国の割合は32.9%となり、2022年全体の36.6%から大きく低下した。