天然ガス・石油暖房の受注受付を断る設置事業者が増えているもようだ。純粋なガス・石油暖房の設置を来年1月から禁止することを柱とする政府法案が無修正で施行されると、設置事業者に暖房機器本体の費用負担義務が発生するリスクがあるためだ。業界団体の文書をもとに経済紙『ハンデルスブラット』が26日付で報じた。
政府が4月中旬に閣議了承した建築物エネルギー法(GEG)改正案には、来年1月1日以降に設置する暖房の再生可能エネルギー使用比率を65%以上とするルールが盛り込まれている。同日以降に設置できるのはヒートポンプや、ヒートポンプをメインとするハイブリッド暖房に制限され、化石燃料のみをエネルギー源とする暖房は原則的に設置できなくなる。
これを受け、ヒートポンプなどに比べ価格の低いガス・石油暖房に駆け込み需要が殺到している。だが、年内に設置が完了し稼働可能な状態とならないと、これらの暖房を使用することはできない。その場合、機器の費用負担義務は発注した世帯ではなく、設置事業者側に発生するリスクがあることから、受注が拒否されている。
ヘッセン州の暖房設置業界団体が会員企業に宛てたメールには、「顧客Aは拘束力のある発注にもかかわらず、手工業者Bへの支払いという反対給付義務を免除される。手工業者Bはしかし、暖房設備を受け取り、代金を調達先に支払わなければならない」と記されている。
全国レベルの業界団体であるZVSHKは、設置事業者のコスト負担が発生しないよう移行期間ルールを設けることを要求している。