車部品メーカーが低価格の産業用電力支持

国内で事業を展開する製造業者が低価格で電力供給を受けられるようにするというドイツ政府の方針を自動車部品メーカーや車体メーカーの70%が支持していることが、独自動車工業会(VDA)が24日に発表した最新の会員企業アンケート調査結果で分かった。ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格高騰の影響が自動車業界にも波及していることが背景にある。ヒルデガルト・ミュラー会長は「我々の業界がトランスフォーメーションを成し遂げグローバル競争で成功を収めるためには国際的に競争力のあるエネルギー価格が必要だ」と強調した。

アンケートは部品メーカーと車体・トレイラー・バスメーカー、合わせて128社を対象に5月15日から23日にかけて実施された。それによると、割高な電力価格が経営上の大きな問題だとする企業は74%、天然ガスは同59%に上った。2月の前回調査(それぞれ82%、73%)に比べると数値が下がったものの、大半の企業がエネルギー価格の高騰に依然として苦しんでいる。

専門人材不足を問題とする企業は85%となり、前回の78%から一段と増えた。役所絡みの煩雑な手続きも大きな負担となっており、国内投資の増額を計画する企業は前回の2%から0%へと低下した。国外への生産移管を検討する企業は5ポイント増の27%に拡大しており、現状を放置すると自動車産業は空洞化する懸念がある。

製造業向けの低価格電力導入は産業立地競争力の維持につながることから、VDAは支持を表明している。ただ、政府の原案では適用対象がエネルギー集約型企業に限られていることから、ヒルデガルト氏は幅広い産業の中堅メーカーも対象に加えるよう強く促した。電力税を現在の1キロワット時(kWh)当たり2セントから欧州連合(EU)で認められている最低水準(同0.05セント)に引き下げることなども求めている。

アンケートでは会員企業が取り組むレジリエンス強化策も質問した。最も回答が多かった対策は「エネルギーの節約」で、69%に上った。「生産プロセスの見直し」は52%、「在庫の拡大」は41%、「調達網の見直し」は36%、「物流の見直し」は35%だった。

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