欧州連合(EU)のミシェル大統領と欧州委員会のフォンデアライエン委員長は22日、ソウルで韓国の尹錫悦大統領と会談し、外交・安全保障、経済、気候変動など幅広い分野で協力関係を強化する方針で一致した。
EU首脳は広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)後に韓国を訪問した。対面でのEU・韓国首脳会議は5年ぶり。双方は共同声明で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は重大な国際法違反であり、ロシアは「直ちにウクライナ全土から、すべての軍事力を完全かつ無条件に撤退させなければならない」と表明。ウクライナの自衛権を強く支持し、同国の再建を支援する方針を確認した。
両首脳は北朝鮮の核開発や弾道ミサイル発射についても強く非難。EU側は北朝鮮の非核化に向けた韓国の取り組みへの支持を表明した。
さらに双方が掲げるインド太平洋戦略のビジョンや重点課題などを改めて確認し、台湾海峡の平和と安定、南シナ海における航行および上空飛行の自由を尊重する重要性を強調。中国を念頭に、力や威圧により現状変更を試みる一方的な行動に強く反対すると表明した。
また、安全保障面の協力強化に向け、外相レベルの戦略対話を開始することで合意した。
経済面では安定した半導体サプライチェーン(供給網)の構築や、EUでの半導体生産の拡大などを視野に、年内に本格的な協議をスタートさせることで合意。さらにEUと韓国の間で「グリーンパートナーシップ」を締結し、気候変動、生物多様性の喪失、環境汚染といったグローバルな課題に共同で取り組む方針を確認した。