介護保険料7月から値上げ、子供2人以上では値下げに

独連邦議会は26日、介護保険改革法案を与党の賛成多数で決議した。同法案は介護保険の構造赤字解消と給付拡大のほか、子供の数に応じた保険料率の差別化を強化することが柱。大統領の署名を経て施行される。新たな保険料率が7月1日付で適用されると、2人以上の子供を持つ人の料率は引き下げられ、子供が1人ないし子供がいない人では引き上げられる。

介護保険の料率は2005年以降、差別化されており、子供(25歳未満)のいない人では子供を持つ人より高く設定されている。現在は子供のある人で給与の3.05%、いない人で3.4%。それぞれ1.525%を雇用主が負担することから、被用者の負担は前者で1.525%、後者で1.875%となっている。

現行の料率に対しては連邦憲法裁判所が昨年春に違憲との判断を下した。子供の有無によって料率を区分するルールは養育費負担が十分に反映されていないと指摘。子供の数を考慮した料率体系にするよう言い渡した。

政府はこれを踏まえて、同法案を作成した。料率は子供のいない人で4%、子供が1人の人で3.4%、同2人で3.15%、3人で2.9%、4人で2.65%、5人以上で2.40%に設定されている。雇用主の負担は一律1.7%(現行比で0.175ポイント上昇)であるため、被用者の負担は子なしの人で0.425ポイント増の2.3%、子供1人の人で0.175ポイント増の1.7%に上昇する。一方、子供2人の人では0.075ポイント減の1.45%、同3人では0.325ポイント減の1.2%、4人では0.575ポイント減の0.95%,5人以上では0.825ポイント減の0.7%に引き下げられる。

今回の料率改革により介護保険料収入は24年から年66億ユーロ拡大する。このうち40億ユーロが給付拡大、26億ユーロが赤字解消に充てられる。ただ、26年以降については財源のメドが立っておらず、介護保険は近い将来、新たな改革が必要となる見通しだ。独雇用者団体連合会(BDA)のライナー・ドゥルガー会長は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、「計画された介護改革は介護保険の負担を増やす。そして長期的な財政力が一段と悪化する」と批判。制度の抜本的な見直しを要求した。

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