企業景況感7カ月ぶり悪化、金利上昇背景に先行き懸念強まる

Ifo経済研究所が24日発表した5月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は91.7となり、前月を1.7ポイント下回った。同指数の低下はエネルギー危機がピークに達した昨年10月以来で7カ月ぶり。特に先行き見通しが悪化している。クレメンス・フュスト所長は「独経済界は懐疑的に夏をみている」と述べた。

今後6カ月の見通しを示す期待指数が3.1ポイント減の88.6と大きく落ち込んだ。同指数の低下は7カ月ぶり。金利上昇で世界的に需要が鈍っていることが響いているもようだ。現状判断を示す指数は0.3ポイント減の94.8となり、2カ月連続で下落した。

景況感を部門別でみると、製造は大幅に悪化した。期待指数がウクライナ戦争勃発直後の22年3月以来の大きな下落幅を記録。ほぼすべての業界で数値が落ち込んだ。現状判断も悪化している。新規受注は減少した。

サービスの景況感はほぼ横ばいを保った。現状判断が改善したのに対し、期待指数は低下した。

流通は大幅に落ち込んだ。期待指数が大きく下落。現状を「悪い」とする回答は6カ月ぶりに「良い」を上回った。景況感は特に卸売で強く悪化している。

建設の景況感は低下した。現状判断が悪化したためで、期待指数は横ばいを保った。

輸出見通しも悪化

一方、Ifoが25日に発表した5月の独製造業輸出期待指数(DI)は前月の6.5ポイントから1.8ポイントへと低下し、2022年11月以来の低水準となった。調査担当者は「世界的な金利の上昇が徐々に需要に影響をもたらしている」と述べた。

Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。同指数がプラスの領域にあることは、輸出増回答が輸出減回答を上回っていることを意味する。

5月の状況を業界別でみると、前月に大きく改善した自動車はマイナス9.6ポイントへと大幅に悪化した。繊維製造(-20.7ポイント)、金属製造・加工(-16.0ポイント)、ゴム・樹脂製品(-12.0ポイント)、金属製品(-8.5ポイント)も振るわない。化学(+1.1ポイント)と電気装置(-0.3ポイント)は増加回答と減少回答がほぼ拮抗している。衣料品(+36.7ポイント)、飲料(+25.9ポイント)、データ処理装置(+14.3ポイント)、機械(+8.8ポイント)、食品・飼料(+7.8ポイント)では見通しが明るい。

上部へスクロール