紙製食品包装材のリサイクルが可能に、植物ベースのバリア性樹脂開発

化学大手の独コベストロは23日、植物を使用したバリア性樹脂を開発したと発表した。食料品の紙製包装材に使用すれば、これまで不可能だった同包装材のリサイクルに道が開けるうえ、製品カーボンフットプリント(PCF)も大幅に削減できるとしている。

食料品の紙製包装材には現在、製品の品質を保つためにポリウレタン(PE)やアルミニウムのコーティングが施されている。だが、これらのコーティング剤が塗布された包装材はリサイクルできないことから、環境負荷や二酸化炭素(CO2)の排出につながっている。

コベストロはこうした現状を改めるため、「デコベリー CQ 6010」というバリア性樹脂を開発した。成分の37%を樹皮、トウゴマ、トウモロコシが占めている。湿気から商品を保護するとともに、油脂をはじく機能を持つ。チョコバーやアイスクリーム、冷凍食品など幅広い食品分野で使用できる。植物を原料に使用していることから、化石燃料をベースとする従来型の包装材に比べPCFが少ない。

同社プリンティング・アンド・パッケージング事業部のマーケティング担当者は、「PEは食品包装材の中身を良く保護するが、これらの包装材をリサイクルすることは実質的に不可能だ。このためその多くがごみ埋め立て場に運ばれたり、焼却されている。わが社の新しい樹脂はこれを改める。食品メーカーと包装材メーカーには包装材に必要な保護機能を持たせるとともに、環境負荷を減らす大きなチャンスが提供される」と述べた。

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