独化学工業会(VCI)が16日に発表した同国化学・製薬業界の1-3月期の生産高は営業日数・季節調整ベースで前期を0.9%下回った。減少幅は前期の5.0%から縮小したものの、本格回復の見通しは立っていない。マルクス・シュタイレマン会長(コベストロ社長)は、「エネルギー・原料コストは多くの化学・製薬会社にとって3カ月前より低下したとしても、コストは依然として数年前の2倍に上っている。ドイツは産業立地面で国際競争力がますます低下している。エネルギー集約型産業の化学では投資と雇用の国外流出が加速するリスクが高い」と危機感を表明した。
業界の生産高を最も強く押し下げたのは構成比重が30%に上る製薬で、減少幅は7.4%に上った。製薬を除いたベースでは業界生産高が3.5%増えたものの、ファイン・スペシャル化学品は2.5%減、洗剤・ボディケア用品は1.5%減、無機基礎化学品は1.4%減と振るわなかった。増加したのは石油化学品と誘導体(11.5%増)とポリマー(2.8%増)だけだった。
工場稼働率は78.6%となり、前期の76.5%から上昇した。ただ、通常の水準を依然として大きく下回っている。
出荷価格は0.5%上昇した。
売上高(営業日数・季節調整値)は585億ユーロで、前期を6.7%下回った。国内が8.2%減、国外が5.8%減とともに後退した。
2023年の生産高については前年比で5%減少するとした従来予測を据え置いた。製薬を除いたベースでは8%減を見込んでいる。