洋上風力発電と海底送電で独・バルト3国が協業

ドイツとバルト3国の送電事業者は9日、バルト海での洋上風力発電と送電の分野で協業合意した。欧州の炭素中立実現とエネルギー安全保障に寄与するとしている。同様の取り決めは北海でも欧州9カ国が4月下旬に行った。国際協力の動きがバルト海でも広がることになる。

今回の合意はベルリンにある独外務省本庁で行われた。署名したのは独50ヘルツ、エストニアのエレリング、ラトビアのAST、リトアニアのリトグリッドの4社。ロシアのウクライナ侵攻を背景にエネルギーの安全供給を確保する重要性が強く認識されるようになったことが後押しした。

50ヘルツとエレリングはエストニアの沖合に設置される洋上風力発電パークと独北東部のメクレンブルク・フォーポマーン州を結ぶ総延長750キロの送電線「バルチック・ウインド・コネクター」を敷設することでも基本合意した。メディア報道によると、容量は2ギガワット(GW)で、投資額は風力発電パークを除いて50億ユーロと見積もられている。2032年の稼働開始が見込まれる。

バルト海の洋上風力発電能力は現在およそ3GWにとどまる。沿岸諸国は昨年末、30年までにこれを19GWに拡大することで合意した。

50ヘルツはデンマーク同業のエナジーネットと共同で総延長470キロの海底送電線を敷設する計画。デンマークのボーンホルム島周辺に設置する風力発電パークからドイツに送電を行う。同パークは30年の完成が予定されている。

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