言動に問題のある社員、即時解雇の前に警告処分を

同僚や上司を侮辱したり口汚くののしる問題社員がいると、職場の雰囲気は悪くなる。そうした社員の即時解雇の是非を巡る裁判で、ラインラント・ファルツ州労働裁判所が6月に判決(訴訟番号:1 Sa 75/21)を下したので、取り上げてみる。

裁判は勤務先企業から即時解雇を通告された社員が同社を相手取って起こしたもの。原告は複数の社員に対し様々な暴言を吐いていたことが、ポーランド出身の社員の訴えと、社員5人に対するその後の事情聴取で分かった。暴言は例えば「馬鹿なポーランド女」「汚い東ドイツ野郎」「アドルフ・ヒトラーが現在も生きていればお前は存在しないだろう」といった具合だ。

同社はこれを受け、2019年3月12日付の文書で原告に即時解雇を通告。原告はこれを不当として提訴した。

二審のラインラント・ファルツ州労裁は、即時解雇は無効で原告と被告の雇用関係は継続されるとした一審判決を支持した。判決理由で裁判官は、同僚や上司を貶める発言や侮辱は即時解雇の理由になり得るとしながらも、被告が警告処分を経ずに原告をいきなり解雇したことを問題視。被告は、警告処分により振る舞いを改善させるチャンスを原告に与えなければならなかったにもかかわらず、それを行わなかったと言い渡した。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。

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