急成長を続けるフードデリバリーサービスは配達員に支えられているにもかかわらず、労働環境は過酷であるうえ、被用者に不利な勤務条件がまかり通っている。フランクフルト州労働裁判所が3月の判決(訴訟番号:14 Sa 306/20、14 Sa 1158/20)でそうした現状の是正を命じたので、今回はこれを取り上げてみる。
裁判はフードデリバリー大手リーファランドの配達員(被用者)2人が同社を相手取ってそれぞれ起こしたもの。同社の配達員は備品のデポジット金として100ユーロの支払いを義務付けられていながら、配達業務に必要な自転車とスマートフォンはプライベートなものを使わなければならない。
原告はこれを不当として提訴。1人はスマホの支給、もう一人はスマホと自転車の支給を要求した。原告は一審で敗訴したものの、二審のフランクフルト州労裁で逆転勝訴した。判決理由で同州労裁の裁判官は、業務の遂行に必要な物品とその費用は雇用主が負担しなければならないと指摘。自転車とスマホはそうした物品に該当するとして、金銭的な相殺なしに被用者個人の自転車とスマホを配達に使用させるリーファランドのルールは不当だと言い渡した。
最高裁への上告が認められているため、判決は確定していない。