ワクチン接種の有無を被用者に質問できるか?

ドイツでは新型コロナウイルス用ワクチンの接種が急速に進み、7日からは16歳以上の全員が接種の予約を取れるようになった。そうなればもう接種を受けたかどうかが職場の話題になるのは自然であろう。では雇用主が被用者に接種の有無を尋ねることはできるのだろうか。この問題について労働法専門出版社のブント・フェアラークがサイト上で記事を掲載しているので、今回はこれを紹介する。

結論から言うと、そうした質問を被用者にすることができるのは、正当ないし保護するに値する利益が雇用主にある場合に限られる。ワクチン接種はプライベートな事柄だからである。接種ステータスは欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)で取り扱いが禁止された健康に関するデータに該当するという事情もあることから、質問を受けた被用者は虚偽の回答をしても問題がない。

ただ、病院や介護施設、老人ホームなどでは事情が異なる。集団感染を防ぐために被用者から接種の有無を聞くことが感染防止法で認められているからである。被用者は虚偽の回答をすることができない。

保健部門以外の職場で接種の有無を質問できるのは、職場感染の防止策を策定するうえで必要な場合に限られる。接種の有無が分からなくても感染防止策を策定できる場合は質問できない。

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