買収した倒産企業の企業年金で最高裁判決

他社の事業を買収した企業は買収時点に買収対象事業で有効だった被用者に対する権利と義務を継承しなければならない。これは民法典(BGB)613a条に明記されたルールである。義務の中には企業年金の支給も含まれる。この義務に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1月に判決(訴訟番号:3 AZR 139/17)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は被告企業を退職した元社員が同社を相手取って起こしたもの。被告は2009年3月に会社更生手続きが適用された企業(A社)を4月に買収した。原告はこれにより被告の社員となった。同社では企業年金の支給額を勤続年数と、退職前の特定の期日の給与額に基づいて査定する決まりとなっている。

原告は退職後の2015年8月から企業年金を受給した。受給額は962ユーロで、そのうち817ユーロを企業年金保険機関PSV、145ユーロを被告から受け取った。

被告は同社が原告に支給する年金の額を、勤続期間を09年3月以降として査定した。つまり、A社を買収する前の勤続期間を含めなかったわけである。査定の勤続期間が短くなれば年金受給額は低くなることから、原告はこれを不当として提訴。A社に勤務していた期間も査定対象に加えることを要求した。

原告は一審と二審で敗訴。最終審のBAGも原告の訴えを退けた。判決理由でBAGの裁判官は、会社更生法適用前の時期を対象とする請求権は倒産債権者の権利とみなされ得るとした倒産法108条3項の規定を指摘。被告はA社に会社更生手続きが適用される前の年金請求権に対し責任を負わないと言い渡した。

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