医師の証明書があれば職場でのマスク着用義務免除?

職場でのマスク着用義務を拒否するために医師の証明書を取得する被用者がいる。そうした証明書を提示された場合、雇用主は着用義務を免除しなければならないのだろうか。この問題を巡る係争でジークブルク労働裁判所が12月に判決(訴訟番号:4 Ga 18/20)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は市役所の事務職員が同役所を相手取って起こしたもの。市役所は新型コロナウイルス感染症の流行を受け職員と訪問者のマスク着用を2020年5月11日付で義務付けた。原告はこれを受け、マスクを着用できないとする医師の証明書を提出した。証明書には着用できない理由が記されていなかった。

被告はこれを受け、マスクの代わりにフェイスシールドを使うよう要求したが、原告は医師の新たな証明書を提出。証明書にはフェイスシールドも着用できないと記されていた。その理由の説明は書かれていなかった。

マスクもフェイスシールドも着用しない職員を働かせることはできないとして被告が原告の勤務を禁じたところ、原告はマスクなどの着用なしで出勤勤務すること、ないし在宅勤務を認めることを要求し、提訴した。

一審のジークブルク労働裁判所は原告の訴えを全面的に棄却した。判決理由で裁判官は、市役所のすべての職員と訪問者の感染を防止し健康を守ることは、原告がマスクなどを着用せずに役所内で仕事をすることよりも重要だと指摘した。また、原告が提出した理由不記載の医師の証明書については、信ぴょう性がないとの判断を示した。そうした証明書では、労働不能証明書と異なり具体的で納得のゆく説明が明記されていなければならないとしている。

在宅勤務については法律上も労働契約上も原告に取得権がないとして、訴えを退けた。

上部へスクロール