事業所委に参加セミナーの選択権はあるか?

被用者の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な経費は雇用主が負担しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条に記されたルールである。雇用主が負担しなければならない経費には事業所委メンバーが参加するセミナーの費用も含まれる。では、そうしたセミナーに参加する場合、事業所委は最も安いセミナーを選ばなければならないのだろうか。この問題を巡る裁判でラインラント・ファルツ州労働裁判所が5月に決定を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は家具販売チェーンの事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。原告は事業所委員に初めて選出されたメンバー4人を、外部の企業G社が実施する事業所体制法(BetrVG)に関する宿泊研修に参加させようとした。費用は出張費も含めて計5,264.04ユーロだった。

これに対し被告は、費用が高すぎるとして、社内で行うセミナーを選ぶよう要求したが、原告はG社のセミナーの方が質が高いとして拒否し、提訴した。

一審のカイザースラオターン労働裁判所は原告勝訴を言い渡し、2審のラインラント・ファルツ州労裁も同様の決定を下した。決定理由で同州労裁の裁判官は、セミナーの選択では雇用主の財務負担を不要に重くすることは認められず、同質のセミナーであれば費用の低いものを選ばなければならないと指摘。そのうえで、質方が高ければ事業所委は費用が高いセミナーを選ぶことができるとの判断を示した。

原告は被告が提示した社内セミナーよりもG社のセミナーの方が質が高い理由として◇講師の数が多い◇裁判審理の現場を見学できる◇他社の事業所委員と交流できる――を列挙。これらの根拠を裁判官は妥当と判断した。

最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上訴は認めなかった。

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