雇用主は問題を起こした被用者に対し警告文書を出す。それにも関わらず、同じ問題を被用者が繰り返す場合は、解雇することが可能だ。ただ、警告を出す場合は被用者が起こした問題を具体的に明記しなければならず、具体性のない警告は無効となる。そんな判断をメクレンブルク・フォーポマーン州労働裁判所が2月の判決(訴訟番号:2 Sa 133/19)で下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は自動車販売店の被用者が雇用主を相手取って起こしたもの。同被用者は顧客が購入を決めた車両を、メーカーに発注する業務を担当している。発注に際してはメーカーが作成したソフトウエアに必要事項を入力する。
被告雇用主は2018年7月、原告に対し計3件の警告処分と、累積警告を根拠とする解雇通告を送付した。原告が同ソフトの入力に際しミスを犯したため、被告に経済的な損出が発生したというのが警告の理由だ。警告の1件は前年11月のミス、残り2件はミスの具体的な内容と日時が記されていない。原告は3月から病欠していたことから、警告を理由に解雇しようとした可能性がある。
解雇を巡る訴訟に関してはこれを無効とする判決がすでに確定している。
メクレンブルク・フォーポマーン州労裁が2月に下した判決は人事データからの警告処分の除去を求めて同被用者が起こしていたものだ。この裁判でも二審の同州労裁は原告勝訴を言い渡した。判決理由で同州労裁の裁判官は、原告のミスで損害を受けたとする被告の主張を原告が否認していることを踏まえ、被告に対し自らの主張を◇証拠資料に基づいて原告のミスを指摘する◇経済的な損害が原告のミスで発生したことを裁判所と原告が納得できる形で証明する――よう要求したが、被告はこの要求を満たせなかったと指摘した。
最高裁の連邦労働裁判所(BAG)への上告は認めなかった。