コロナ追跡アプリ、企業での使用は可能か

新型コロナウイルスに感染した可能性があることを知らせるドイツ政府のスマホアプリ運用が16日、始まった。連邦保健省によると、初日のインストール件数は640万件を超えており、人気の高さがうかがわれる。今回はこのアプリを企業が使用する際の注意点を取り上げることにする。

まずはアプリの概要を説明すると、利用するためにはインストールする必要がある。アンドロイド系端末とアップルのスマートフォン「アイフォン」に対応している。

インストールしたスマホ同士は近接すると近距離無線通信技術ブルートゥースを通してID番号を交換する。ID番号は同アプリを通して各端末に割り当てられる。感染が確認された利用者は自らのID番号を保健当局のサーバーに自分自身でアップロードする。悪用を防ぐために、検査機関が発行したQRコードないしコロナホットラインから得たTANを同時に入力する必要がある。

感染者がアップロードすると、14日以内に2メートル未満の近距離で15分以上、接触したスマホ保有者に通知が届き、医師や保健当局、新型コロナホットラインに相談することを推奨される。プライバシーが重視されているため、利用者を特定することはできない。また、利用者は同アプリをいつでも削除できる。

利用するかどうかは各人の任意である。このため企業が従業員に利用を強制することはできない。これは業務用スマホを利用している場合にも当てはまる。

ただ、労働法専門出版社ブント・フェアラークのサイトに掲載された弁護士の寄稿文によると、事業所内で新型コロナの感染が確認された場合は同アプリの利用を敷地内への立ち入りの条件とすることができる。これを拒否した従業員は在宅勤務をすることになる。在宅勤務ができない場合は有給で業務を免除される。アプリを利用する従業員をボーナスや健康手当などの形で優遇することは違法な差別となる。

従業員の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)がある企業では同アプリの投入に先立って事業所委の同意を得なければならない。労災防止や従業員の健康を守るための措置は事業所体制法(BetrVG)87条1項で共同決定しなければならない事柄と規定されているためである。

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