コロナ特例の給与継続支給、期間が最大20週に延長

ドイツには「病休時の給与継続支給(Lohnfortzahlung)」というルールがある。これは、病休社員の給与を雇用主が最大6週間、全額支給するというもので、「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(略:EntgFGないしEFZG)」を根拠としている。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて現在はこれとは別に、子供の世話をするために仕事をできない社員を対象とする給与の継続支給ルールが導入されている。こちらは3月に成立した「改正感染防止法(InfSG)」に基づくものである。連邦議会はこのほど、InfSGの新たな改正案を可決し、給与の継続支給期間を延長したので、今回はこれを取り上げてみる。

新型コロナの感染拡大を受けて学校や保育施設は閉鎖された。このため子供を持つ共稼ぎの夫婦やシングルマザーなどのひとり親は自宅で子供を世話しなければならなくなった。在宅勤務が可能な就労者はそれでも勤務を継続しているが、出勤しないと仕事ができない職種では会社などを休まざるを得なくなっている。

政府はこれを踏まえ、3月にInfSG改正案を作成し、連邦議会で可決された。これにより、子供(12歳未満)を世話するために仕事を休む被用者に手取給与の67%(月2,016ユーロが上限)を雇用主が引き続き支払うルールが導入された。雇用主は州の管轄官庁に申請して支給した給与を回収できるため、財務負担は発生しない。

このコロナ特例の給与継続支給の期間は当初、共稼ぎ夫婦で最大12週(父親6週、母親6週)、ひとり親で同10週間となっていたが、今回の法改正でこれをそれぞれ20週間へと拡大した。この最大受給期間は分割が可能で、当該被用者は断続的に何度も給与の継続支給を受けることができる。学校や保育施設は再開されたものの、子供は毎日、通学・通園するわけではないため、在宅勤務ができない子持ちの被用者は、登校・通園日以外は引き続き仕事を休み、給与の継続支給を受けることになる。

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