新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために禁止されていた小売店やレストランの営業が解禁されるなど、ドイツの経済・社会は正常化に向けて動き出している。これは製造や事務など幅広い分野の職場にも当てはまる。
ただ、コロナ危機は依然として続いており、単純に以前の職場のあり方に戻すという訳にはいかない。人が集まれば感染リスクが高まることから、予防策を講じなければならないのだ。その際、被用者の代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)がある職場では、同委と共同で事業所内のルールを取り決める必要がある。労働法専門誌『グーテ・アルバイト』がこの問題に絡んだ裁判を取り上げたので、今回はこれを紹介する。
裁判はドイツ北部にある企業の事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。同社は新型コロナの感染拡大を受けて事業拠点を一時、閉鎖していたが、状況が改善してきたことを受けて業務を操短体制で再開した。その際、各曜日への勤務時間の割り振りや操短をどのように実施するか、感染リスクの判断とその対策について事業所委と協議しなかったことから、同委は共同決定権の侵害に当たるとして提訴。ノイミュンスター労働裁判所は4月28日、この訴えを認める仮処分決定(訴訟番号:4
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3a/20)を下し、事業拠点の閉鎖を被告企業に命じた。これらの事柄を事業所委と協議して共同決定するよう促している。