新型コロナ対策、職場でなすべきことは?

ドイツ政府は16日、新型コロナ危機の克服に向けた決議を国内16州と共同で前日に採択したことを受けて、職場での感染予防に向けた全国統一の「労働安全衛生基準(Arbeitsschutzstandard

COVID

19)」を閣議決定した。今回はその概要を説明する。

独政府と州政府は15日の決議で営業制限を20日から部分緩和することを決めた。これを受けて職場に出勤して働く就労者が増えることから、各職場で適切な措置を取ることが新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐうえで大きなカギを握ることになる。政府はこの事情を踏まえて対新型コロナの労働安全衛生基準を策定した。

具体的な基準の最初に掲げるのは、人と人の距離を常に1.5メートル以上に保つソーシャル・ディスタンスを職場でも実践することだ。いわゆる「三密(密閉・密集・密接)」が発生しやすい屋内・車内だけでなく、屋外でも順守することを義務付けている。屋内であれば1.5メートル以上の間隔で床にテープを張ったり、入室者数を制限するなど措置が求められる。1.5メートル以上の距離を保てない場合は仕切りパネルの設置やマスクの着用など代替措置を取ることが雇用主に義務付けられる。マスクは雇用主が支給しなければならない(外部からの訪問者に対しても)。

業務の流れ(シフトの交代や休憩時間)を工夫することで、従業員間の接触を可能な限り減らすことも求められている。

従業員の衛生を保つために、雇用主は手洗い液や消毒液を提供することを求められる。また、共同で利用する部屋、社用車、労働手段、ドアの取っ手などをこまめに清掃・消毒することを求められる。

新型コロナに感染すると重症・重篤化し死亡するリスクの高い「リスクグループ」に該当する社員がいる場合は、その社員に適した対策を講じなければならない。

発熱(微熱でも)や息苦しさ、風邪のような症状など新型コロナに感染した兆候がある社員は出社を見合わせる。また、勤務中にそうした症状が出た場合は速やかに退社する。そのうえで、医師の診断で新型コロナでないことが判明するまでは出社を控える。

社内に感染者が出た場合は保健当局が感染ルート・クラスターを特定できるよう調査に協力する。

職場で実施する新型コロナ対策は従業員に分かりやすく説明し、必要があれば実演や演習も行う。

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