新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために企業は現在、社員を可能な限り自宅で勤務させている。では在宅勤務中に社員が怪我をした場合、労災保険は適用されるのであろうか。また、されるとすれば、どのような場合なのだろうか。今回はこの問題を取り上げてみる。
まず結論を述べると、会社であろうが自宅であろうが、仕事絡みの怪我であれば労災保険の対象となる。どこで怪我をしたかではなく、業務の遂行と関係があるかどうかが、労災認定のカギを握るからである。
例えば、自宅の階段から落ちて怪我をした場合、仕事に関係する活動の一環で階段を利用していたのであれば労災保険は適用、私的な目的で利用していたのであれば不適用ということになる。仕事でインターネットを使っていたところ接続が途絶えたため、原因を調べるために地上階に降りようとして転落・怪我をしたのであれば労災になるが、アマゾンで注文した私的な商品を受け取るために階段を降りようとして怪我をしたのであれば労災として認定されない。怪我の原因が私的な性質を持つ場合は労災保険が適用されないという原則は会社と通勤途上での怪我にも当てはまる。
ただ、会社での勤務に比べ在宅勤務が不利なケースもある。例えば最高裁の連邦社会裁判所(BSG)は、会社でトイレに行く途中に怪我をすれば労災となるが、在宅勤務の場合は労災とならないとの判断を示している。
また、会社帰りに子供を保育施設に迎えにいって怪我をした場合は労災だが、在宅勤務中に自宅から迎えに行っても労災とはならない。