フランクフルト市当局が市中心部でのマスク着用を22日付で義務化した。バイエルン、ザクセン州に比べると人口当たりの感染数は少ないものの、それでも10万人当たりの7日間の合計は373人(23日)に上る。同日に始まったクリスマス市も飲食時以外、着用していなければならない。
感染状況が急速に悪化してきたことで、ブースター接種を受ける人が増えてきた。良い傾向だと思う。
だが、ニーズの急増は新たな問題を引き起こしている。連邦保健省がビオンテック製のワクチンを配給制に改めたのである。開業医が確保できる量は週当たり最大30本に制限される。
ブースター接種のワクチンはmRNAタイプのビオンテックとモデルナの製品である。政府は年末までに5,000万人が接種を受けられる準備をすでに整えている。確保済みのワクチンはビオンテック製品が2,430万回分、モデルナ製品が2,610万回分とほぼ同数で大きな違いはない。
問題は開業医などが発注するワクチンの90%をビオンテック製品が占めていることにある。市民のほとんどがドイツ企業が開発した同ワクチンを希望しているためだ。発注通りに供給すると、モデルナ製品で大量の有効期限切れが発生し、来年2月以降、使用できなくなってしまうことから、ビオンテック製品の供給量を制限し、モデルナ製品の使用を促進する狙いである。
これに対し医師会や州政府からは強い批判が出ている。「人気の高いワクチンの供給量が制限されれば接種を受ける市民が減り、感染拡大防止にマイナスだ」「すでにビオンテックのワクチンで接種の予約を入れた多くの市民にモデルナ製品への変更を説明し、同意を得なければならないことは、ただでさえ大きい開業医の負担を一段と増やすことになる」といった具合だ。
しかし、モデルナ製品には少なくともビオンテック製品と同等の効果がある。効果の持続期間や感染防止の面でビオンテック製品を上回るとの研究結果もある。ニーダーザクセン州の医師会は配給制導入を「接種キャンペーンの破壊工作だ」と批判しているが、そこまで目くじらを立てることもないだろういうのが正直な感想だ。