ディスカウントストア大手のアルディが動物福祉度の低い食肉・肉製品の販売を2030年までに打ち切る方針を打ち出した。動物福祉度に応じて4種類ある飼育形態のうち上位の「3」と「4」を満たす製品に制限。最低の「1」に該当する製品は25年までに取扱商品リストから全面的に除外する意向だ。「3」「4」は現在、計15%未満にとどまる。
福祉度が向上すれば飼育コストはそれ相応に上昇するため、販売価格が高くなるのは避けられない。低価格を武器とするディスカウントストアが顧客離れにつながりかねない選択をあえて行う背景には消費者ニーズの変化がある。
家畜の劣悪な飼育環境に批判的な人が増えているのだ。飼育現場のショッキングな現実を伝えるドキュメント番組は少なくなく、動物福祉に反する農家やそうした食肉を取り扱う小売事業者は強い圧力を受けている。
市民意識の変化の背景にメディアの影響や生活の変化だけでなく、歴史・文化など古層的なものの働きもあるのかどうかは分からない。ただ、鯨食を(資源保護でなく)動物愛護の立場から批判する欧米人の感覚にピンとこない日本人が多いことを踏まえると、その可能性は排除できないような気がする。