イースター休日を巡る先週の混乱には多くの人が翻弄された。始まりはメルケル首相と16州の首相が22日午後から23日未明のテレビ会議で取り決めた聖木曜日(4月1日)と復活祭前日の土曜日(3日)への「休み時間(Ruhezeit)の拡大」である。両日を今年に限り休日にするとあるが、これは一体、何を意味するのか。前例がないことからドイツ人も判断に迷った。ジャーナリストが記者会見で確認を入れ、本来は聖金曜日、復活祭(日)、イースターマンデー(月)の計3 日からなるイースター休日を今年に限り5連休にするということがようやく明確になった。
この決定に企業は慌てた。4月1日と3日に取得予定だった社員の有給休暇を法定休日扱いに変更しなければならなかったり、生産・納品計画に狂いが出たり…。どの企業でも多かれ少なかれ混乱があったことだろう。
やれやれと思っていたら、翌日は5連休撤回記者会見である。想定外の出来事が短期間のうちに2度起きた格好で、朝令暮改とはまさにこのことだと思った。
しかし、行政の頂点に立つ者が市民に心から謝罪する姿には好感を覚えた。メルケル首相の正直な人柄とともに、あくまでも主権者のために政治を行っているという姿勢が感じられたからである。正義を独占しているがゆえに、過ちを認めたら権威がたちまち崩れてしまう独裁国家では絶対に見られない光景だと思った。