余白一滴

1~2月の独乗用車新車登録統計をみていて気になったことがある。日本車の減少幅が目立って大きいのだ。ロックダウンなどの影響で全体の減少幅自体が25%を超えているのだが、日本車はすべてのブランドでこれを上回っており、最小でも28.5%に上る。3ブランドでは60%台に達した。

最大の原因は需要が急速に拡大している電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)のラインアップ不足だ。陸運局が直前に発表した1月の電動車統計をみると、EVとPHVで日本車の存在感がないこと一目瞭然で分かる(3月3日号を参照)。EVとPHVは欧州で市場シェアの急拡大が当面続く見通しのため、モデルの拡充は緊急の課題である。

日本車の販売数は長期的に減少傾向が続いている。登録台数が増えたという記事よりも減ったという記事を書くことの方が圧倒的に多いのだ。

日本車は故障の少なさの点でもかつての優位を失っている。ここ数年はトップ10の大半をドイツ車が占め、日本車がわずかに混じっているというところだ。

かつて世界を席巻していた日本のAV機器の凋落を、筆者は日本の在住者より恐らく早く実感していた。日本の家電の危機をメディアが報じるよりもかなり前の時点で、ドイツの家電量販店でテレビ売り場の主役が日本ブランドから韓国ブランドに急速にシフトしていったからである。

時代の変化は速い。その変化の主導権をかつては日本が数多く握っていた。省エネ、カンバン、ウォークマンなどなど。現在は状況が一転し、変化が黒船となっているという印象を受ける。

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