ロシア自動車市場、「30年までにパンデミック前水準に」=ロシア副首相

●中国・イランや国内メーカーが急減した自動車生産を穴埋め

●ロシアで生産していた外資系メーカーは60社から11社へ激減

ロシアのデニス・マントゥロフ副首相兼産業通商相は13日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)の開幕を前に、国内自動車市場が2030年までにパンデミック前の水準に回復するという見方を明らかにした。欧州メーカーへ依存が強かった関係で、ロシア自動車生産はウクライナ侵攻を機に急減。政府は中国・イランとの提携や、国内メーカーへの支援でその穴を埋めようと試みている。

中国企業でロシア・ウクライナ戦争前にロシアで工場を運営していたのは長城汽車のブランド「ハヴァル(哈弗)」だけだった。現在でも直接操業は2社にとどまり、ロシアにおける中国車販売拡大が輸出に大きく依存していることがうかがわれる。

中国車の今年1-3月期(第1四半期)販売台数は6万4,000台で、シェアは前年同期の8.9%から42%へ急増した。一方、米『フォーブズ』誌の5月報道によると、対ロシア輸出の急増を追い風に、中国は今年1-3月期の自動車輸出台数が前年同期を58%上回り、日本を抜いて世界トップに立った。

イランもロシア市場の変動から大きな利益を得ている。今年2月には国内2位の自動車メーカー、サイパー(SAIPA)がロシアへ4万5,000台を輸出することが決定。西側諸国の制裁下にある両国の主要メーカー間の提携に向けた動きが活発化している。

ロシアメーカーは「100%国産」モデルの投入で国内市場シェアの拡大を狙っている。通商産業省は軽自動車の「オカ」ブランド復活を支援する姿勢を明らかにした。アフトワズはブランド名をロシア語(キリル文字)に変更することも検討しているという。

対ウクライナ侵攻で、ロシアで生産していた外資系メーカーの数は60社から11社へ激減した。ロシアの月間生産台数は昨年6月の3,000台以下から現在までに15万台前後へ回復したが、戦争前の約半分にとどまっている。

一方で実質賃金の上昇などで需要が増えたことから販売台数は今年、拡大に転じた。ロシアの欧州ビジネス協会(AEB)の最新統計によると、5月は5万1,466台と前年同月から倍増した。アフトワズのマクシム・ソコロフ社長はロシア自動車市場が今年87万5,000台まで回復すると予測するが、それでも戦前水準の60%に過ぎない。

上部へスクロール