●経済に予想以上の伸び、インフレ圧力は強い高まり
●インフレリスクのバランスは「より上向きに傾いている」
ロシア中央銀行は9日の金融政策決定会合で、主要政策金利の7日物入札レポ金利を7.5%に据え置くことを決めた。据え置きは6会合連続。国内経済が予想を超えて成長する中、インフレ圧力がこれまで以上に高まっているとし、今後の会合で利上げに踏み切る可能性を明らかにした。
同国のインフレ率は5月に2.5%となり、前月を0.2ポイント上回った。インフレ率の上昇は13カ月ぶり。中銀の推定では6月5日時点で2.6%まで上がっている。今後について中銀は、消費の回復と、年初からのルーブル安に伴うコストの川下転嫁によりインフレ圧力が増し続けるとしたうえで、引き締めを基調とする現行の金融政策を踏まえると、年間インフレ率は今年4.5~6.5%まで上昇するものの、2024年には目標値の4%近くに戻るとの見方を示した。 国内総生産(GDP)は内需の拡大と「経済構造の変化」により予想を上回る伸びを示している。一方、部分動員の影響で人手不足が深刻化しており、実質賃金の伸びが生産性を上回るおそれがある。
中銀は声明で、財政支出の増加や対外貿易条件の悪化、深刻な労働力不足がインフレリスクをもたらしていると指摘。経済制裁を受けた調達と決済の複雑化が輸入品価格を押し上げることも踏まえ、インフレ圧力を和らげるため次回の会合で利上げを行う可能性を示唆した。