ユーロ圏の1~3月期GDPは0.1%減 、下方修正で景気後退入り

●減少は独、アイルランド、蘭などのGDPの下方修正が影響

●EU27カ国ベースのGDPは0.1%増、従来の0.2%増から下方修正

欧州連合(EU)統計局ユーロスタットが8日に発表した2023年1~3月期の域内総生産(GDP)の最新統計によると、ユーロ圏のGDPは前期比0.1%減となり、従来の0.1%増から下方修正された。22年10~12月期のGDPも横ばいから0.1%減に改定されたため、景気後退(2四半期連続のマイナス成長)入りした。

ユーロ圏の景気後退は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて各国で実施された経済・社会活動を制限する措置の影響で経済が大きく悪化した20年4~6月期以来。物価高や欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めが響いた。

分野別では個人消費が0.3%減と冷え込んだほか、公共支出が1.6%、輸出が0.1%、輸入が1.3%の幅で落ち込んだ。設備投資は0.6%増。

マイナス成長に転落したのは、ドイツ、アイルランド、オランダなどがGDPを下方修正したため。特にドイツが当初の横ばいから0.3%減に改定されことが大きい。ドイツは2四半期連続のマイナス成長となり、景気後退に陥った。

EU27カ国ベースのGDPは0.1%増となり、小幅のプラス成長となったが、従来の0.2%増から下方修正された。前年同月比ではユーロ圏、EUとも1.0%増。それぞれ0.3ポイント、0.2ポイントの下方修正となった。

前期比でマイナス成長となったのは、ドイツのほかアイルランド、オランダ、ギリシャ、ハンガリー、エストニア、リトアニア、マルタ。ドイツ以外の主要国はフランスが0.2%増、イタリアが0.6%増、スペインが0.5%増だった。

ECBは記録的な物価高に対応するため、22年7月から利上げを実施。5月まで7会合連続で政策金利を引き上げた。インフレ率はこのところ鈍化傾向にあるものの、なおECBの目標値である2.0%を依然として大きく上回っている。このため、次回の定例政策理事会(6月15日)での追加利上げ決定が確実とみられていたが、景気後退入りしたことで難しい判断を迫られそうだ。

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