ハンガリーで中国のEV電池大手が新たな投資計画

●ハンガリーではすでにCATLやEve Powerが電池生産の計画を発表

●同国はEV電池生産で将来的に世界2位に浮上=シーヤールト外相

ハンガリーのシーヤールト外務貿易相は9日、中国宜賓市(四川省)で開催された「世界動力電池会議」に出席し、同国の大手電池メーカーがハンガリーに大規模投資を計画していると発表した。企業名は明らかにしていない。ハンガリーではすでに、寧徳時代新能源科技(CATL)や湖北億緯動力(Eve Power)が電池生産を行う計画を発表している。

シーヤールト外務貿易相は同会議で、ハンガリーは現在、EV電池生産で世界4位に着けており、計画されている投資が完了すれば2位に浮上するだろうと述べた。同相によると、EVバッテリー製品は直近の1年~1年半で同国最大の輸出品目となっている。

メルセデスベンツに車載電池を供給するCATLは昨年、東部デブレツェンに73億ユーロを投じてギガファクトリーを設置する計画を明らかにしている。Eve Powerは今年5月、ハンガリーのBMW工場向けにバッテリーを生産するため12億米ドルを投じて現地生産体制を整える計画を発表した。

ハンガリーをEV電池の生産大国にする政府の方針に対し、批評家からはリスクを指摘する声が上がる。EV電池生産は電力需要の急増を招き、老朽化した国内の電力網では対応できない可能性があるためだ。大量の工場用水の給水にも大きな環境リスクが潜む。専門家らは深刻な干ばつに見舞われる地域の貴重な水資源が工場に使われるのではとの懸念を抱く。

リチウムイオン電池の製造過程で有害な化学物質や汚染物質が空気中や水中に放出される不安も拭えない。CATLの工場は人口20万人のデブレツェン郊外の肥沃な土地に建設されるが、環境保護団体は政府に対し、経済が停滞している自治体や産業に乏しい地域を立地候補とするよう求めている。

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