中国が中央アジアとの関係強化、露の存在感が薄れる中

●開発支援の融資・無償援助予算として260億人民元を用意

●中国と中央アジア諸国との貿易高は昨年、640億ユーロに拡大

今月18、19の両日、中国・西安で第1回中国・中央アジア首脳会議が開催された。中国のイニシアチブで開かれたもので、中央アジア地域における自らの影響力の強化を図る目的だ。19~21日の広島G7サミット(主要7カ国首脳会議)を前に、対中抑止を強める欧米諸国をけん制する意味もあるとみられる。会議には習近平・国家主席のほか、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国の大統領が出席した。

習主席は、中央アジアとの提携を深化させ、同地の開発を支援するための融資・無償援助予算として260億人民元(38億米ドル)を用意すると話した。これに関連し、各国との投資協定を改定する方向を示した。

中央アジア諸国を経由する輸送路の整備は提携の重点の一つで、中国政府は国内企業の同地域への進出をうながす方針だ。貨物だけでなく、観光振興のための鉄道サービスも立ち上げるという。

長期的にはカスピ海横断国際輸送コリドーの整備、中国・欧州貨物鉄道輸送拠点の建設も支援する。

資源貿易では、トルクメニスタンを起点にタジキスタン、キルギスを経由して中国に至る「中央アジア・中国天然ガスパイプライン・ルートD」の建設加速の必要性を強調した。また、石油・ガス貿易の拡大、産業界のあらゆる場面におけるエネルギー協力拡大、新エネルギー・原子力平和利用での協力強化を呼びかけた。

新華社通信によると、中国と中央アジア諸国との貿易高は昨年640億ユーロに拡大した。今年1-2月期は前年同期実績を22%上回る伸びを示している。

ロシアは長らく中央アジアを自らの影響下に置いていたが、ウクライナとの戦争の長期化でその存在感が薄れている。この隙を突いて、中国やトルコが中央アジア諸国に接近している。

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