トルコ大統領選で現職がリード、勝負は28日に持ち越し

●選挙はトルコの方向性を幅広い分野で決定づける重要なもの

●議会選挙では与党が絶対多数を獲得

トルコで14日に実施された大統領選挙は、現職のエルドアン大統領(与党・公正発展党=AKP)が野党統一候補のクルチダルオール氏(共和人民党=CHP)を上回ったものの過半数には届かず、勝負は28日の決選投票に持ち越しとなった。15日午後時点の得票率はエルドアン候補が49.51%、クルチダルオール候補が44.88%。選挙管理委員会によると、在外投票を除く投票率は88.92%に達した。今回の選挙は中東地域の要としてのトルコの方向性を経済から外交に至る幅広い分野で決定づける重要なものとみなされている。

現在69歳のエルドアン大統領は首相時代も含め20年に渡り権力の座にある。2014年の直接選挙で大統領に就任後、18年には大統領制を導入して広範な権限を集中してきた。民主主義陣営の欧米とロシアや中国など強権的な国々との間でバランスを取る独自外交で存在感を示す一方、国内経済では高インフレ下でも利下げを続ける異例の措置により物価の高騰を加速させ、国民の窮乏を招いたと批判を受ける。

クルチダルオール候補は74歳で、政界に転身する前は財務官僚だった経歴を持つ。「トルコに民主主義を取り戻す」ことを旗印にしており、選挙戦ではエルドアン大統領の強権化や国内経済の疲弊を批判して有権者の支持を集めた。

14日の投票では超国家主義団体「アタ(ATA)同盟」を率いるシナン・オーガン氏が予想を上回る5.17%の票を獲得した。このため、決選投票では同候補の支持票をどれだけ取り込めるかがカギとなる。オーガン氏はとりわけクルチダルオール候補に対し、難民の排斥に加え、少数民族クルド系野党の国家民主主義党(HDP)に一切譲歩しない姿勢を打ち出すことを求めているが、少数派への配慮を標榜する同候補が受け入れられるかは微妙だ。

14日は議会選挙も行われ、与党AKPは600議席中322議席を獲得した。有権者が安定的な政権運営を重視すると、決選投票はエルドアン大統領に有利になる可能性もある。

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