●加盟国義務付けのガス備蓄のうち最低15%を共同購入で賄う
●チェコのCEZ、ポーランドのPKNオルレンも共同購入に参加
欧州連合(EU)域内のエネルギー事業者などが天然ガスを共同購入するためのプラットフォーム「アグリゲートEU」に登録した企業のうち、65社が2日までに予定するガス購入量を申告した。ロイター通信が5日、欧州委員会のシェフチョビチ副委員長とのインタビューをもとに報じた。プラットフォームを運営する事業者は各社のガス需要を集約して、17日までに供給業者からのオファーとマッチングし、その後、各企業はガスの購入と引き渡しに関する条件について供給業者との交渉に入る。欧州委は6月または7月に最初の売買契約が結ばれるとの見方を示している。
天然ガスの共同購入はEU全体で協調的にガスを備蓄し、加盟国間の獲得競争による価格上昇を防ぐとともに、価格交渉力を高めるのが狙い。加盟国に義務付けられたガス備蓄(今年11月以降は自国のガス貯蔵施設の備蓄上限の9割)のうち、少なくとも15%(EU全体で135億立方メートル相当)を共同購入で賄う目標を掲げている。
アグリゲートEUは4月25日に本格運用を開始し、同日までにエネルギー事業者のほか、鉄鋼や肥料などエネルギー集約型産業の76社がプラットフォームに登録した。シェフチョビチ氏によると、5日時点で計101社がガスの買い手または売り手として登録しており、同氏は「期待を上回る初期段階の反応」が得られたと述べている。
ロイターによると、チェコの国営電力会社CEZ、スペインの石油大手セプサ、ポーランドの石油最大手PKNオルレンは、それぞれ広報担当が共同購入スキームに参加する意向を表明している。また、101社のうち19社は、売買契約の交渉や締結に必要な専門知識や信用力を持たない中小企業の代わりに買い手となったり、液化天然ガス(LNG)ターミナルでの受け入れ枠の予約や消費地までの輸送などの補完的サービスを提供する仲介業者として登録している。
アグリゲートEUを通じた入札は向こう12カ月にわたり、2カ月ごとに実施される予定。シェフチョビチ氏によると、集約されたガス需要の77%はパイプライン経由の供給で、残り23%がLNGとなっている。なお、ロシア産ガスは共同購入の対象から除外される。