●現行の金利水準はインフレリスクを抑えるのに十分だと判断
●中銀は次回会合で「インフレリスクの改善の持続性を考慮する」
ハンガリー中央銀行は4月25日、政策金利を13%に据え置くことを決めた。据え置きは7会合連続で、市場の予想通り。インフレ率の上昇に歯止めがかかる中、現行の金利水準はインフレリスクを抑えるのに十分だと判断した。
政策金利の下限となる翌日物貸出金利も12.5%に据え置いた。上限となる翌日物有担保付貸出金利は4.5ポイント引き下げ、20.5%に設定した。
同国の3月のインフレ率は前月から0.2ポイント減の25.2%に縮小した。インフレ率の低下は2カ月連続。食品と燃料価格の上昇ペースの鈍化が大きい。中銀は今後について、インフレ率はベース効果により数カ月で大きく下がり、金融引き締めによる広範なディスインフレ効果も現れると予想する。年間インフレ率は今年15~19.5%で、来年は3~5%、2025年は2.5~3.5%まで下がるとみる。
中銀は昨年10月、金融政策の対応余地を広げるため翌日物有担保付貸出金利を15.5%から25%まで引き上げて金利コリドー(上限・下限金利の差)を大幅に拡大した。今回中銀は、内外の状況の改善により「極端なシナリオのリスク」が減少したため、金利コリドーの縮小を決めたと説明している。エコノミストはこれについて、金融市場に与える影響は小さいものの、「状況は動いており、適切な時期に利下げを行う」(JPモルガンのアナリスト)というメッセージを送っているとみる。
中銀は声明で、「金融引き締めを通じたインフレ目標の達成」というこれまでの文言を省き、次回の金融政策決定会合では「インフレリスクの改善の持続性を考慮する」との一文を新たに加えた。市場では、中銀が利下げに向けて慎重な一歩を踏み出したと受け止められている。