デジタルサービス法、19サービスが適用対象に

●19のサービスには最も厳しい規制を適用する

●月間ユーザー数が4,500万人超の巨大IT企業のサービスが対象

欧州委員会は4月25日、欧州連合(EU)域内でオンラインサービスを提供する事業者に違法コンテンツの削除や偽情報の拡散防止などを義務付ける「デジタルサービス法(DSA)」について、最も厳しい規制を適用する19のサービスを公表した。交流サイト(SNS)のフェイスブックやツイッター、グーグル検索などが対象に含まれている。指定されたサービスを運営する巨大IT企業は、4カ月以内に規制に対応するための具体策を講じる必要がある。

デジタルサービス法は欧州委員会が2020年12月に法案を発表。欧州議会と閣僚理事会の承認を経て22年11月に施行された。偽情報、ヘイトスピーチ、著作権侵害動画、児童ポルノといった違法コンテンツや、模造品や海賊版など違法商品の削除を義務付ける内容で、交流サイトや検索エンジン、コンテンツ共有サービスを提供するオンラインプラットフォームなどが規制の対象となる。事業者は違法コンテンツの排除とともに、違法性のあるコンテンツを第三者が通報できる仕組みを構築する必要がある。宗教や人種、性的指向、政治的信条などに基づくターゲティング広告を禁じ、ターゲティング広告を目的とする未成年者からのデータ収集も禁止する。

さらに月間ユーザー数がEUの全人口の10%に相当する4,500万人を超えるプラットフォームは欧州委員会の監督下に置き、より厳しい規制を適用する。巨大プラットフォームの運営者は特定ユーザーが興味を持つと思われるコンテンツや商品を提示する「レコメンドシステム」のアルゴリズムを定期的にチェックし、当局の求めに応じて関連する情報を提供する必要がある。また、違法コンテンツの流通や、選挙や公衆衛生、治安などに関連した意図的な情報操作に自社のシステムが悪用されるリスクを分析し、緊急時に偽情報やプロパガンダを制限するなどの措置を講じることが義務付けられる。

今回、欧州委が公表したのは、最も厳しい規制を適用する月間ユーザー数が4,500万人超のサービス。フェイスブック、ツイッター、TikTok、米アップルのApp Store、動画投稿サイトのユーチューブ、米アマゾン・ドット・コムや中国アリババの電子商取引サイトなど17サービスを「巨大オンラインプラットフォーム」、グーグル検索とマイクロソフトのBingを「巨大オンライン検索エンジン」に指定した。これらのサービスには8月25日から規制が適用され、違反した場合は世界における年間売上高の最大6%相当の制裁金が科される可能性がある。

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