ロスネフチ、インドへの原油輸出でドバイ価格を適用

●欧州に代わりアジアへの原油輸出を増やしていることが背景に

●欧州のブレント原油に対し、ドバイ原油はアジアの市況を反映

ロシア石油最大手のロスネフチとインドの製油最大手インド石油(IOC)が、ドバイ原油価格を基準に取引することで合意したもようだ。3月29日に発表された契約に適用される。ロイター通信が複数の消息筋の情報として伝えた。

欧州での取引で適用されるブレント原油価格ではなく、アジアの市況を反映するドバイ価格が採用された背景には、ロシアが欧州に代わる原油の輸出先としてアジアへの供給を増やしていることがある。

29日の契約の詳細は発表されていないが、消息筋によるとロスネフチのインド石油への販売量はこれまでの約2倍に拡大する。従来契約の取引量は月300万バレルで、インド石油が毎月300万バレルまで追加発注できる権利を有していた。追加発注分についてはブレント・スポット価格に油種間価格差(ディフェレンシャル)を加味して価格が決まる。

新契約が適用される新年度(23年4月~24年3月)は権利行使分を含めて、1カ月当たりの取引が最大1,100万バレルに拡大する。取引額は納入量に応じてドバイ価格から8~10米ドル割り引かれる。

ロシアのウクライナ全面侵攻を受けて欧州がロシアからの原油調達を大きく制限したことを受け、ロシアはインド、中国などアジアへの輸出を拡大している。

インドは3月、ロシアが海上経由で輸出する原油の半分を占め、仕向け先で1位となった。中国も2月前半のロシア産ウラル原油の調達量が前月同期の2倍に増加した。

ドバイ原油はアラブ首長国連邦(UAE)で産出される中質原油。主にアジアで取引されるため、同地域の石油価格の指標とされている。価格はブレント価格と同様、米ドル建てだ。

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