ロシアがAI開発支援を削減、19年比で10分の1以下に

●30年までのAI技術開発に対する政府支援総額は250億ルーブル

●同国の政府系AI技術関係者の多くは対ロ制裁の対象に

ロシア政府は人工知能(AI)技術開発に対する支援を削減するもようだ。昨年12月に経済開発省が策定した2030年までのAI開発ロードマップを19年に承認されたものと比べると、支援規模は10分の1以下にまで減少している。ウクライナ戦争の長期化で膨れ上がる戦費が予算を圧迫している形だ。ニュースサイト『bneインテリニュース』が19日に報じた。

政府が割り当てた2030年までのAI技術開発に対する支援総額は250億ルーブル(約3億3,500万ユーロ)で、これとは別に国営銀行ズベルが1,000億ルーブルを拠出する。

ロードマップでは「国内の経済・社会分野におけるAIソリューションの大規模な導入プロセスの加速」を目標に定めている。対ロ制裁を受けて外国からの調達が途絶えたために自国開発の必要が生じたAI製品を特定するとともに、その開発と実用化に向けた様々な対策が盛り込まれているという。開発は主に「自然言語処理と音声合成」、「コンピュータービジョン」、「高度なAIの手法」、「インテリジェントな意思決定支援」の4分野ついて行われる見通し。

同国では政府系のAI技術関係者の多くが制裁対象となっており、開発に欠かせない米半導体大手エヌビディアのプロセッサのようなハイテク製品の利用に制限がかかる可能性が高い。また、戦争勃発以来止まらない「頭脳流出」も障害となっている。

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