アップルの「アップストア」などに競争法違反の疑い、欧州委が調査開始

欧州委員会は16日、米アップルのアプリケーション購入サイト「アップストア」と電子決済サービス「アップルペイ」がEU競争法に違反している恐れがあるとして、正式な調査を開始したと発表した。アップルが圧倒的な市場支配力を悪用し、競合するサービスを市場から締め出そうとしているといった疑いで調査を進める。

今回の調査は、音楽配信サービスで世界最大手のスポティファイ(スウェーデン)が2019年3月、アップルが「アップストア」で自社の定額制音楽配信サービス「アップルミュージック」と競合するサービスに不利な条件を課したり、多額の手数料を徴収するなどして競争を阻害しているとして、欧州委に苦情を申し立てたのがきっかけ。

とくにスポティファイは、サブスクリプション型サービスを提供する同社のようなコンテンツプロバイダーがアプリ内課金を利用する際、アップルが手数料として売り上げの30%を徴収するシステムを問題視している。今年3月には電子書籍、オーディオブック事業者も同様の苦情を寄せていた。

欧州委は「アップストア」について、スポティファイが指摘した手数料や、アプリ開発者がアイフォンなどアップル製品の利用者にコンテンツをアップストア以外で安く購入できることを知らせるのを制限している点を問題視。「アップルペイ」に関しては、オンライン販売事業者がアプリ、ウェブサイトで同電子決済サービスを利用する際の条件が厳しく、アップルと競合する事業者による利用を拒否していることや、アップルのスマートフォン「アイフォン」で唯一の近距離無線通信(NFC)を利用した非接触型決済システムとなっていることが健全な競争を阻害している疑いが浮上している。

アップルは同日、「“ただ乗り”しようとしている一部の企業からの根拠のない苦情に基づいて欧州委が動いていることに失望している」とする声明を発表し、欧州委を批判した。

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