欧州委員会は10日、新型コロナウイルスに関連した偽情報に関する報告書を公表し、主な発信源として中国とロシアを名指しで非難した。両国は新型コロナに関する誤った情報を「前例のない規模」で拡散させていると指摘。こうした情報が投稿される米フェイスブックなどに対し、月次報告書の提出を求めるなど圧力を強めている。
報告書は「中国やロシアなど外国の主体」がEU内で新型コロナに関する偽情報を拡散させ、「民主的な議論を破壊し、社会を分断しようとしている」と指摘した。中国については政府系メディアを使って自国が新型コロナ対策で成功したとアピールする一方、米国の対応のまずさを批判するといった動きがみられると分析。さらに中国とロシアが連携し、対米批判を展開した形跡もあると指摘している。
欧州委のヨウロヴァ副委員長(価値・透明性担当)は記者会見で、中ロの関与について「われわれには十分な証拠がある」と強調し、「行動を起こさないのはあまりにも危険だ」と発言。新型コロナ危機を通じて「悪質な偽情報が市民の生命を脅かし、公的機関が打ち出した対策を無力化する可能性があることが明らかになった」と述べた。
欧州委は分析結果を踏まえ、同委が2018年に策定した「偽情報に関する行動規範」に署名したフェイスブックやグーグル、ツイッターなどの大手ソーシャルメディアプラットフォームに対し、月次報告書の提出を求めた。各社はユーザーの意識向上を図り、信頼できるコンテンツを促進する一方、新型コロナウイルスに関連した偽情報や広告を排除するために講じている具体的な措置について、詳細に説明する必要がある。