欧州委員会は11日、新型コロナウイルスの感染防止策として実施しているEU域外の第3国からEU域内への入域を原則禁止する措置について、7月1日から段階的に緩和する方針を発表した。入域制限の期限を約2週間延長して今月30日までとし、その間に各国の感染状況などを踏まえて受け入れ可能な国・地域のリストを策定する。
EUは3月17日の緊急首脳会議で第3国から域内への渡航を30日間禁止する措置を決定した。アイルランドを除くEU26カ国とシェンゲン協定に参加する非EU4カ国(ノルウェー、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン)は決定に基づき、域外に在住するこれら30カ国の市民とその家族、EU加盟国の長期在住者、医療従事者や運送従事者などを除き、不要不急な渡航を原則禁止している。同措置はこれまでに2回延長され、現在の期限は今月15日となっている。
欧州委によると、当面はアルバニアやモンテネグロなど西バルカン諸国からの渡航が解禁される見通し。他の国からの渡航ついては◇新型コロナの感染がEUの平均的水準に抑えられていること◇感染抑制策が講じられていること◇EU域内からの渡航を受け入れる用意があること――の3点を受け入れの条件として挙げた。受け入れ国のリストは随時見直し、感染が再拡大するなど当該国の状況が悪化した場合は、再びEUへの入域を制限する。
欧州委のヨハンソン委員(内務担当)は「域外からの入域制限を解除するための準備を進める段階にきた」と強調。夏の観光シーズンに合わせて7月から段階的に制限を緩和する考えを示し、加盟国に足並みを揃えるよう求めた。
一方、シェンゲン圏内での国境管理については今月15日までに解除し、域内の自由な往来を認めるよう求めた。