イタリアが観光客の受け入れ再開、EU内や英国から隔離なしで入国可能に

夏の観光シーズンを前に、EU諸国が新型コロナウイルスの感染拡大で深刻な打撃を受けた観光業の立て直しに舵を切り始めた。ただ、入国規制を緩和すれば新型コロナの感染が再拡大する恐れもあり、加盟国は渡航制限の緩和と感染防止策のバランスを模索する必要に迫られそうだ。

イタリア政府は3日、新型コロナの感染拡大を受けて3カ月近く続けてきた国内の移動制限を全面解除するとともに、入国制限を緩和し、EU加盟国などからの観光客の受け入れを再開した。コンテ首相は記者会見で「イタリアは欧州や世界の観光客が訪れることのできる安全な場所になった」と強調。ディマイオ外相も「(入国制限の緩和は)イタリアが世界に対して安心感を与える重要なメッセージだ」と述べ、新型コロナで打撃を受けた観光業の立て直しを急ぐ考えを示した。

今回の措置により、イタリア国民は州をまたいで国内を自由に移動できるようになったほか、EU加盟国や英国からの渡航者は隔離措置なしで入国できるようになった。ただ、イタリアと各国を結ぶ航空便は依然として大部分が運休しており、ローマ郊外の国際空港などの利用者はほとんどいなかった。

ドイツも3日、EU加盟国や英国、シェンゲン協定に参加しているアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタイン、スイスからの入国制限について、今月15日から解除する方針を発表した。ただし、15日の段階で入国禁止措置を取っている国は対象から除外するとしており、現時点では6月末までの延期を表明しているノルウェーとスペインがこれに該当する。

一方、ギリシャも15日から外国人観光客の受け入れを再開する。ギリシャの島々への渡航禁止は25日に解除される見通し。また、スペインは7月1日から渡航者に対する2週間の隔離措置を廃止し、外国人観光客の受け入れを本格化させる。

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